伝統民家はエコロジー建築だった

悠山想の家づくりは、ハウスメーカーと比べると時間がかかります。 木と土の家づくりには、大工による刻み加工や、左官の土塗り壁など、施工にもある程度の期問が必要です。時間と人の手間をかけてこそ、いい家ができるのです。

目指しているのは「現代の民家」です。古い民家は、その地域で手に入る材料で、その地域の職人が、その地域の気候風土にあった家を、年月を経て裏付けされた技術により作ってきました。地元の職人が作るので、顔が見える関係です。それらが今、話題となっていますが、ほんとうのエコ住宅だったのです。

林

現代は昔と比べて流通技術も発達し、情報があふれており、世界中の材料を使って家を作ることができ、何がよいのか、分がらなくなってきていると思います。しかし、地元の木、土、紙、畳、職人を使うことは、自然にも、住む人にも優しいうえに、荒れた山を支え、手仕事の場が失われている日本の職人の技術を残すことにもつながります。

悠山想がつくる現代の民家は、お客様からよく「空気が違う」と言われます。夏は涼しく冬は寒くない。これから、家づくりの流れと、その仕組みをお話していきます。

林

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    今までのお客さんの家を
    見学に行きます。

    まず一度ご連絡ください。メールでも電話でもかまいません。
    お会いしてから、住まいに対してどのような考えを持っていらっしゃるか、家族構成、要望などをじっくりお話します。
    それから家族構成や要望に近い感じの、今まで悠山想が建てたお客さんの家を実際に見に行っていただきます。

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    住む人の生活、土地の発する
    声を聞きます。

    打ち合わせと設計調書により、お客様の生活を教えていただきます。そして、必要なボリュームと動線、将来予想される機能等を想定します。同時に敷地周辺の調査をし、借景ができるか、敷地を囲ってその中で開くか等の設計方針を固めていきます。そして、土地の気候風土を知り、風と光の流れを読み、開口部等を決めていきます。

    棚田
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    法規制と地盤調査

    国で決められている法規の確認をします。住宅が建てられる土地か、どれだけの大きさの家が建てられるか(建ぺい率、容積率)、どの高さまで建てられるか(道路斜線、北側斜線など)、どんな構造が要求されるか一地域、用途、階数、防火)などを調べます。
    次に、地盤調査を行います。水の集まる低地は軟弱です、地形が地盤の良否を決定します。 軟弱地盤を見分ける7つの手法を紹介します。

    1. 「既存家屋の不具合」を点検する。
    2. 「風景」 を読む。
      水路、暗渠、波打つ道路、高台の風景、畑の宅地化、雑木林の宅地化、擁壁は要注意
    3. 「地名」は、災害情報のタイムカプセル。
      • 「さんずいのつく地名」
      • 「低地を表す地名」
      • 「水辺の植物の入った地名」
    4. 地図を使う
      道路地図ではなく、地形図を。新しい地図と古い地図を比較すると隠れた川や溜池がわかります。
    5. データベースを活用する。
      柱状図をまとめた「地盤図」をネットで見る。図書館へ行く。「公図」で水路をチェック。「造成計画図」から盛土、切土の範囲を判読する。
    6. 軟弱地盤は、「ガラ」で盛土される。狭い谷地は格好のゴミ捨て場である。
    7. 地盤調査を実施する。
    「風景」 を読む
    地盤
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    見積もり

    何回かのやりとりを経て、納得していただけるプランにまで練り上げ、合意に達しましたら見積もりをします。見積もりの予算と合わない場合には、住まいの為になにが大切か、優先順位をつけてもらい、折り合いをつけていきます。
    見積もりが合意に達したところで、設計図、見積書、契約約款にて悠山想と工事請負契約をしていただきます。

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    着工します

    確認申請許可後、着工します。

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    地鎮祭

    その土地の神の荒御魂を鎮めることです。
    地鎮祭の時、神主さんは「とこしずめのまつり」と言っています。その土地の歴史や自然や色合いというような諸々のものを受け入れるという事が、住むという事だとすれば、その「土地」に対して謙虚になる事も大事なことだと思います。

    地鎮祭の様子
    地鎮祭の様子
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    基礎工事

    まずは基礎工事です。
    ここで暇疵保険の現場検査を受けます。

    基礎工事の様子
    基礎工事の様子
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    棟上げ
    (軸組の完成)

    棟上げを建前とも言います。この日までに大工が作業場で「刻み」と言って、柱や梁になる木を加工しておきます。それを棟上げ時に組み立てて、立ち上げていきます。土壁の下地となる貫もこの時、一緒に入れていきます。最後、棟が上がれば上棟式を行います。

    構造材は土台の桧以外はすべて杉材です。柱は一二〇角です。筑後川流域、杉岡製材所などからです。造作材も杉、建具も杉材です。家具はタモ材を使っております。
    木材が主体の構造は組み立て式です。組み立てと逆の過程をたどれば解体できます。解体できれば移築することも、再生することもできます。

    ●耐震
    建物の剛さと強さで地震力に打ち勝つという技術観です。

    ●対振
    無理をしないで最初に土壁を壊して、建物が揺れながら耐える粘り強さを、接合部のめり込みで大変形を吸収する。そして、柱と柱の間に入った貫が柱が倒れるのを堪えて、生命維持空間を確保します。自然と折り合いをつけます。

    棟上げの様子
    棟上げの様子
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    餅まき

    上棟式での餅まきは、「散餅銭の儀」という災いを祓うために餅と銭をまく儀式がもとになっているそうです。
    上棟式そのものは平安時代から鎌倉時代にかけて広まり、一般庶民も行うようになったのは江戸時代からだそうです。
    家を建てることは大きな厄災を招くという考えがあり、その厄を避けるために餅や小銭をまいて他人に持って帰ってもらうという説があります。
    しかし、餅まきをすることは、御近所の方にも喜んでもらえるし、家族にとって、特に子供たちにとって記憶に残ります。

    餅まきの様子
    餅まきの様子
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    屋根工事

    下地が出来たら瓦屋さんが来て瓦をふきます。三州のいぶし瓦です。

    屋根工事の様子
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    土壁

    屋根工事をする頃、下では土壁工事がはじまります。大工が鴨居を入れ終えると、左官が竹小舞を編みます。この時点で役所の中間検査を受けます。その後、荒壁をつけていきます。

    土壁
    土壁
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    外壁工事

    仕上げは左官工事によるモルタルリシン掻き落としです。その他、漆喰塗、杉板はりなど、さまざまな外壁があります。

    外壁工事の様子
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    竣工までに

    実際に暮らせるよう、多くの職人による手仕事がなされます。

    ■造作工事(大工工事)
    鴨居を入れ、敷居を入れます。床・壁・天井の下地を作り、板や塗り下地をはります。大宰府の家の床板は床暖房用の床材で楓です。これは合板ですが、表面単板は2㎜厚ですので調湿性もあり、無垢の触感です。
    ■左官仕上げ工事
    土壁の中塗り、漆喰仕上げ塗り、土塗り、台所や浴室のタイル貼り、玄関の石貼り、玉砂利洗い出し、外構工事などを行います。
    ■家具工事
    キッチン、食器棚、下駄箱をはじめとして造り付け家具が多いのが特徴です。どの家でも打ち合わせをしてオーダーメイドの家具を作ります。
    ■建具工事
    建具のデザインに特徴があります。建具が多いのですが、なるだけ違うデザインにします。柾目板を使った建具は家の雰囲気に大きな存在感を示します。
    ■畳工事
    減農薬の畳床といぐさ表を使っています。
    建具工事
    左官仕上げ
    建具工事
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    完成と引き渡し

    役所の完成検査を受けます。その後、お施主さんにも現場をご確認いただき、工事精算をしてお引き渡し致します。

    完成と引き渡し